はりは痛い?
ある患者さんのお話で、針治療を受けていることを人に話すと必ず
「はりは痛いか?」
と聞かれるとのこと。「痛いこたーありゃせんよ」と答えると、「いや、痛いじゃろ、痛いけーわしゃー、はりせん。」といって紹介もできないそうです。こんな話を聞くと鍼灸師が説得するのはますます難しいなと感じます。しかし、当サイトをご覧の方の中には、知りたい方もいらっしゃるでしょうから、なるべく率直にお話したいとおもいます。患者さんがまず想像して怖がるのは、
鍼が体に刺さった状態
(「鍼」と「針」の違いの投稿の写真をご参考ください)
(置鍼・ちしんといいます)を見てしまうこと。「これは痛そう」と思われるようですが、実際は、いったん入ってしまうと痛くないんです。患者さん自身はどこに刺さっているのかわからないくらいです。では、どこがポイントになるかというと鍼を刺す瞬間(切皮・せっぴといいます)が難しいのです。この時、チクッ(切皮痛・せっぴつうといいます)とならないように鍼を打ちます(刺すことを打つといいます)。ここは鍼灸師の技量になりますが、患部がカチカチに硬くなっている時におこりやすい現象です。それ以外では、体に反応をおこすため鍼の操作をしますがこのときくる感覚が
「鍼のひびき」
といわれるものです。ズーン、ピクピク、ビリッなどさまざまで「気持ちいい」という人と「気持ち悪い」という人がおりますが治療上必要ですのでここは頑張ってください。しかし、体質が弱かったり恐怖感がある場合は無理はせず、鍼のひびきがこないように操作をしなかったり、鍼を打つツボの数を減らしたり、鍼の入る深さを浅くしたり、ときにやめてマッサージだけにしたりと工夫をして患者さんになるべく負担のないような治療を心がけています。(写真は切皮を可能にする鍼管・しんかんというもの)