骨盤矯正
患者さんから「骨盤が歪んでいるんですかね?」って質問されるときがあります。巷では
「骨盤矯正」という言葉は一般的なもののようで、正直返答に困ります。「背中が曲がっていますかね?」という質問なら答えられるのですが・・・。解剖学的に考えると、仙腸関節のずれをなおすという意味なのか、それとも仙骨と第5腰椎のずれをなおすという意味なのか、はたまた股関節のことをいっているようでもあるし・・・。理屈はさておき、
「骨盤矯正」
という言葉自体はpelvic-adjustmentというもともと西洋医学の用語のようで、これがかみ合わない原因。まあ、姿勢が悪いという意味で考えればよいのでしょうが・・・。このことで思い出すのが、
昭和初期の
名鍼灸師・沢田健先生
の言葉「骨をなほす位のことはわけないです。接骨はわしの本職だから。けれども中を治しておかないで骨をなほすと、内臓がつれたり悪くなつたりして体を痛めて了うので、体の方をなほしてから骨を直しにかかるのです。」というせりふ。
接骨的には、関節をなおすことはできるが
鍼灸的には、筋・腱がなおしてからの方が無理がない、という意味のこと。わたし自身も治療としては筋・腱がなおるとバキバキと自然に関節が整っていくので、骨のことは意識しません。
(写真はありし日の沢田健先生)